60代からの家は「買う？借りる？」後悔しない選択のポイントを比較

家に対する考え方は人それぞれです。老後の安心のために「土地が残る持ち家」を考える持ち家派。一方、メンテナンスや老朽化の心配がない「賃貸」が良いと考える賃貸派がいます。どちらの選択が、あなたの60代以降の人生をより豊かにするでしょうか？

それぞれのメリット・デメリットを、シニア世代のライフスタイルに焦点を当てて整理してみましょう。

身軽で安心な老後が実現
【賃貸のメリット】

① ライフスタイルの変化に柔軟に対応できる

子育てが終わり、夫婦二人に広い家は不要になった時や、体調や介護の都合で医療機関の近くに住み替えたい時など、ライフステージの変化に合わせて簡単に住まいを変えられます。

② メンテナンスや修繕費の心配が不要

老朽化による大規模な修繕や建て替え、給湯器の故障などの費用は基本的に大家さん負担です。老後の大切な貯蓄を、急な修繕費に充てる心配がありません。

③ 建物の固定資産税や保険料の負担がない

建物にかかる固定資産税の支払い義務がなく、火災保険や地震保険なども、自分の家財に対する保険のみで済み、費用を抑えられます。

注意が必要！シニアが直面する
【賃貸のデメリット】

現役世代に比べ、収入面や万が一の事態を懸念され、高齢者への「貸し渋り」をする大家さんがいるのが現実です。そのため、借りられる物件が限定されてしまう可能性があります。

さらに、保証人の確保を求められたり、年齢を理由に入居審査が厳しくなるケースも少なくありません。結果として、「条件は合っているのに年齢だけで断られてしまう」「複数の物件を探し直すことになる」といった状況に直面することもあります。

また、賃貸住宅では住み続ける限り家賃の支払いが発生するため、将来の収入減少を見据えた資金計画が欠かせません。

経済的な安心感につながる
【持ち家のメリット】

① ローンが終われば住居費の負担が激減

住宅ローンを完済していれば、毎月の住居費は固定資産税と修繕費、管理費（マンションの場合）のみとなり、経済的な安心感につながります。

② 資産価値があり、活用方法を選べる

土地と建物は自分の資産です。自宅を売却して老後の資金に充てる「リバースモーゲージ」の利用や、賃貸に出すなど、将来の選択肢を持てます。

負担と心理的なしがらみ
【持ち家のデメリット】

① 維持・管理費用が常にかかる

ローンを完済しても、毎年固定資産税を支払う義務があります。また、築年数が経つと劣化や故障が増える外壁や水回りなどのリフォーム費用も、すべて数十万～数百万円単位で自己負担し、計画的に積み立てる必要があります。

② 住み替えの難しさと相続の問題

住み替えたいと思っても、売却の手続きや費用、労力がかかります。また、自宅の相続をめぐって家族間で揉めるケースも少なくありません。

さらに、立地や築年数によっては、想定どおりの価格で売却できないケースもあります。

高齢者でも安心できる「シニア向け賃貸物件」という選択

持ち家も賃貸も、それぞれ良いところも悪いところもあり、個人の価値観や環境、家族構成や生活スタイルなどにより異なるので、どちらが正解というアンサーはありません。

大切なのは、60代以降の収入・健康・家族との関係を見据え、
無理なく、安心して住み続けられる選択かどうかです。

迷ったときは、一人で決めず、住まいやお金に詳しい専門家に相談することも、後悔しないための大切な一歩です。

「終の棲家」としての安心と身軽さを求めるなら、賃貸暮らしを検討してみる価値はあります。特にシニア向けの賃貸物件やサービス付き高齢者向け住宅（サ高住）を選べば、「貸し渋り」の心配が激減し、60代以上でも安心して暮らせます。

これらの物件は、段差のないバリアフリー設計が主流のため、自宅をリフォームする費用をかけずに安全な環境を実現できます。

さらに、万が一の時も安心な安否確認サービスや生活相談、食事提供など、持ち家にはない生活支援サービスを利用できるのも大きな魅力です。

老後の人生を身軽に、そして安心して送るためにも、一度「賃貸」という選択肢を具体的に検討してみませんか。

シニア向け賃貸住宅の特徴についてはこちら。
▶ シニア向け賃貸住宅とは？特徴やサービス、一般賃貸との違い、入居までの流れを解説

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（シニア賃貸60+編集部 松尾まみ）