【第1回】定年後の住まい選び|失敗しない「老後の住み替え」の始め方
この連載では、シニア向け賃貸を専門に扱う「株式会社イチイ シニア事業部」の所長・酒井さんにお話を伺い、60歳以上の方が安心して住み替えを進めるためのヒントを、全5回にわたってお届けします。
「定年後、今の家でずっと暮らし続けるのは不安」
「将来を見据えて、もっと暮らしやすい場所に移りたい」
そんな思いを抱えながらも、何から始めればいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
シリーズ第1回では、なぜいま「老後の住み替え」が増えているのか、その背景と目的について、現場の声を交えてご紹介します。
なぜいま「老後の住み替え」が増えているのか?
「このまま今の家で暮らし続けて、本当に大丈夫だろうか?」
そんな不安や迷いを感じ始める60代の方が、近年確実に増えているといいます。
株式会社イチイ シニア事業部 所長の酒井さんによると、
「定年を機に住み替えを考える方が、ここ数年で一気に増えました。“この先が不安だから”ではなく、“今のうちに、もっと自分らしい暮らし方に変えておきたい”という前向きな気持ちが背景にあります。」
では、実際にどのような事情から、住み替えを考える方が増えているのでしょうか。その主な理由を見ていきましょう。
1. 一戸建てはもう限界?60代から増える住み替えの声
長年住み慣れた一戸建て住宅も、年齢を重ねるにつれて次のような手間やリスクが増します。
- 階段の上り下りがつらくなった
- 冬場の寒さがこたえる
- 庭の手入れや修繕が面倒
- 台風や地震への備えが不安
所長もこう語ります。
「“家はあるけれど、暮らしにはもう合っていない”という声は本当に多いです。元気なうちに、平坦でコンパクトな住まいに移っておくことで、将来の不安も大きく減らせます。」
2. 通院・介護に備えて“今”住まいを見直す理由
年齢とともに病院への通院や、将来的な介護の必要性を見据えて住環境を見直す方も増えています。
- 総合病院が近くにない
- 車がないと買い物に行けない
- 将来的に介護サービスが受けやすい場所に住みたい
所長は、このように指摘します。
「“通院しやすい場所に移りたい”という相談はここ数年で特に増えました。駅近や、医療施設の充実したエリアへのニーズは年々高まっています。」
3. ひとり暮らしの不安。安心感を得る住まい選びとは?
高齢になると、日常の中でふとした孤独や不安を感じることもあります。
- 子どもは独立し、遠方に住んでいる
- ご近所との付き合いがなくなってきた
- 何かあったときに気づいてくれる人がいない
こうした声に対し、所長はこう語ります。
「同世代が多く入居する物件や、見守りサービスがある物件を選ぶことで、“もしものときも安心”という安心感が得られるのです。」
まとめ|老後の住み替えは“新しい暮らしへの一歩”
「老後の住み替え」と聞くと、後ろ向きな印象を抱く方もいるかもしれません。
でも実際には、「もっと安心して、もっと自分らしく暮らしたい」という前向きな人生設計のひとつとして、住まいを見直す方が増えています。
次回(第2回)では、実際に起こった住み替えの失敗例を紹介しながら、後悔しないためのチェックポイントを詳しく解説します。
【第2回】定年後の住まい選び|老後の住み替えでよくある5つの失敗とは?
(シニア賃貸60+ 編集部)