【賃貸を選んだ理由③】帰国後の同居に違和感──64歳女性が選んだ「一人暮らしという自由」
64歳のCさんは、長年アメリカ西海岸で暮らしてきました。夫の仕事の都合で渡米し、現地で子育てをしながら、地域のコミュニティや趣味の絵画活動にも積極的に参加。アメリカの暮らしは、Cさんにとって“第二のふるさと”とも呼べる存在でした。
しかし、ある日を境に「帰国」が現実の選択肢として浮上します。
母の老い、そして娘の決意
帰国のきっかけは、日本に暮らす母が心配になったこと。そして、アメリカで育った娘が「大学を卒業したら、日本に住んでみたい」と話し出したことでした。
幸い、アメリカで所有していた家は人に貸し出し、毎月の家賃収入で日本での生活には困らない状況でした。
久々の実家暮らし、そして見えてきた「暮らしの違和感」
帰国後、まずは実母と同居を始めたCさん。しかし、長年のアメリカ暮らしで築かれた“住まいの基準”と、日本の古い家屋での生活には、大きなギャップがありました。
「私は、アメリカではセキュリティの整ったコンドミニアムで暮らしていました。窓からの景色が素晴らしく、朝は陽の光が差し込むリビングで絵を描いたり、ヨガをしたり──そんな静かで自分のペースを大切にする生活が日常でした。
ところが日本の実家は、築年数も古く冬はとにかく寒い。視界の抜ける開放感もなく息苦しさを感じるようになりました。
それ以上に辛かったのが、母との関係です。もともと相性が良くないうえに、同居を始めてからは、何かにつけて口を出されることが増えていきました。昔から変わらない母の干渉が、年齢を重ねた今でもやはり煩わしく感じてしまうんです。
一方で、娘はまったく逆。世話を焼いてもらうのが苦ではなく、むしろ嬉しそうに母と一緒に買い物に出かけたり、料理をしたりと、仲良くやっています。
“おばあちゃんと私は気が合うよ”と笑う娘を見て、この家には“彼女たちの居場所”があるのだと気づきました。
そして私は、自分自身が安心して、自分らしく暮らせる場所を探す決意をしたのです。」
一方で、母は家を離れる気などまったくなく、「ここが自分の居場所」と強い愛着を持っていました。さらに意外なことに、娘も「この家が落ち着く」と話し、和室や古い家具、障子のある雰囲気に魅力を感じていたのです。
「アメリカで生まれ育った娘が、畳や木の匂いに“安心する”なんて、正直驚きました。でも、自分とは違う感性にちょっと救われた気もします。」
「私は私の暮らしを」──静かな決意と住み替え
こうしてCさんは、「母と娘はこの家でうまく暮らせる。でも私は、別の場所で自分らしい生活をしたい」と考えるようになります。
そして探しはじめたのが、自分一人が心地よく暮らせる住まい。偶然見つけたのが、実家から歩いて20分ほどの場所に建った新築のシニア向けマンションでした。
「見に行った瞬間、“ここに住みたい”って思いました。セキュリティも整っていて、静かで、明るくて。しかも絵を飾れるギャラリースペースもある。まさに、私がずっと理想としていた“ひとりの快適な空間”でした。」
現在はそのマンションで、自分のペースで絵を描き、時折娘や母の家に顔を出す日々。距離があるからこそ、家族との関係も以前より穏やかになったといいます。
離れていても、支え合える家族のかたち
- 三世代が一緒に住むことが“正解”とは限らない
- それぞれのライフスタイルを尊重し、心地よい距離を保つことが、関係を良くする場合もある
- 高齢の親を支えながらも、自分自身の人生を丁寧に暮らしていく
Cさんの選択は、そんな「新しい家族のかたち」や「自立したシニアライフ」のヒントを与えてくれます。
以上、アメリカから帰国後、都内に転居されたC様から届いた声のご紹介でした!
離れていても、支え合える家族のかたち。Cさんが選んだのは、お互いの人生を尊重し合う心地よい距離でした。
他にもさまざまな理由で賃貸を選んだ方の体験談をご紹介しています。ぜひ、あなたの「新しい暮らし」を考える参考にしてください。
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(シニア賃貸60+編集部)