【賃貸を選んだ理由①】防犯面の不安から戸建てを売却、住み替えまでの道のり
神奈川県に住む72歳のAさんは、長年住み慣れた築35年の一戸建てを離れ、賃貸マンションへの住み替えを決めました。きっかけは、防犯への不安と、これから一人で暮らしていくことへの現実的な悩み。
Aさんが住まいを見直すに至った背景から、子どもたちとのやり取り、そして実際の売却・住み替えまでの道のりをたどります。
一戸建てでの一人暮らし。高まる防犯への不安
5年前に夫を亡くし、現在は一人暮らし。子どもたちはそれぞれ独立して家庭を持ち、ふだんの生活で気軽に頼れる人は近所にいません。
そんなAさんにとって、心の支えだったのが、13年間ともに暮らした愛犬の存在でした。「うちの子は小型犬でしたが、とても頼りになる番犬でした」。
寝室は2階にあり、1階に愛犬が眠っている。それだけで気持ちが落ち着いたといいます。
愛犬が、1年前に亡くなってからは、防犯への不安が一層強まったといいます。
「最近はニュースで、一人暮らしの高齢者を狙った空き巣や強盗の事件を見るたびに、自分も狙われるのではと怖くなるんです。特に夜、2階の寝室で寝ていると“窓は閉めたっけ?” “鍵はかかってたかな?”と気になって、なかなか眠れなくなることも…。確認しようと階段を降りるときも、“誰かいたらどうしよう…”と心臓がドキドキしてしまうんです」。
かといって、これからまた犬を飼うことは、最後まで面倒を見られるかという不安もあり断念しました。
友人宅で感じた安心と快適さ
そんなある日、近所に住む友人の賃貸マンションを訪れたAさん。エントランスにはオートロックが設置され、共用部も清掃が行き届き、部屋の中は明るく暖かい雰囲気。
「オートロックがあって、玄関の鍵もしっかりしているので安心。さらに、同じフロアに誰かがいると思うだけで、気が楽ですよねぇ」。
この訪問をきっかけに、「自宅を売って、安心できる環境に住み替えたい」という気持ちが芽生えていきました。
「最初は“この家で最期まで暮らす”と思っていましたが、安心して暮らすには環境も大切だと考えるようになったんです。もちろん、最初は家賃を払い続けることにも少し不安がありました。でも、それ以上に“安心して眠れる毎日”のほうが大事だと思うようになりました。」
自宅売却に向け準備をスタート
「この家を売ろうかと考えている」と子どもたちに打ち明けたとき、最初は驚かれたといいます。「そんなに急がなくても…」という声もありましたが、Aさんは自分の不安や考えを伝えました。
「夜が怖いこと」「階段の昇り降りがつらくなってきたこと」「何かあったときに、すぐ助けを呼べないこと」など。
こうした気持ちを素直に話すことで、子どもたちも理解を示してくれるようになり、Aさんは本格的に「自宅を売る」という選択に向けて動き出しました。とはいえ、築35年の一戸建て。いきなり不動産会社に行くのではなく、まずは自分で少しずつ整理と準備を始めることに。
「やっぱり物が多かったですね。思い出の品もたくさんあって、最初はなかなか手がつけられなかったんですけど、これは今後使うか?って自分に問いかけながら、少しずつ断捨離しました」
神奈川の住宅街、条件次第で買い手は見つかる
Aさんの自宅は、神奈川県内の私鉄沿線にある閑静な住宅街に建っており、最寄り駅からは徒歩12分ほど。都心へのアクセスもよく、家の前の道幅も広いため、立地としては決して悪くない環境でした。
「駅から10分ちょっとだし、陽当たりも良かったので、条件としてはそこまで不利じゃないと思っていました」
複数の不動産会社に査定を依頼したところ、提示された売却価格に大きな差はなく、平均的な相場内で売れる可能性が高いという印象を受けたそうです。
最終的には、親切に対応してくれた地域密着型の不動産会社に媒介契約を依頼。インターネット掲載や週末の内覧対応をお願いしながら、売却活動を開始しました。
幸い、掲載から約3か月で買い手が見つかり、売買契約もスムーズに成立。購入したのは、近くの保育園に子どもを通わせる予定の30代のご夫婦だったそうです。
賃貸探しは「安心して暮らせること」を最優先に
売却と並行して進めていたのが、新しい住まい探しです。 Aさんは、「これからの生活は、安全・快適・無理のない暮らしをしたい」と考え、駅から徒歩圏で、バリアフリー設計、エレベーター付き、オートロック完備といった条件を重視。シニア向けの賃貸マンションを中心に複数の物件を見学しました。
「わざわざ愛着のある家を手放してまで引っ越すのだから、安心して住める環境じゃないと意味がないと思ったんです」。
見学を重ねる中で、設備やセキュリティだけでなく、周辺環境や物件の雰囲気にも目を向けるようになり、最終的に「ここなら落ち着いて暮らせそう」と思える都内のマンションにめぐり会いました。
住み替え後、「夜が怖い」がなくなった
新しい住まいは、エレベーター付きマンションの4階にある1LDKの部屋。掃除がしやすく、動線もシンプル。なにより、階段の登り老いもなく、オートロック付きなのが安心です。
「最初は“こんなに狭くて大丈夫かな”と少し不安もありましたが、暮らしてみると掃除が本当にラク!階段もないし、夜も安心して眠れるようになったんです。鍵や窓を気にして眠れなかった頃と比べると、気持ちが全然違いますね」。
「夜が怖い」と感じることもなくなり、気持ちにゆとりのある暮らしが戻ってきました。「家を手放す」ことに最初は迷いもあったというAさんですが、今では「住み替えて本当に良かった」と笑顔で話します。
長年の住まいに別れを告げるのは、勇気がいることかもしれません。けれども、安心して眠れる場所、日々の暮らしにストレスを感じない環境に身を置くことは、これからの自分を大切にする選択でもあります。
以上、神奈川県から転居のA様から届いた声のご紹介でした。
(※画像はイメージです)
「住み替え」という大きな決断には、それぞれに物語があります。あなたと同じように悩みを抱えながらも、新しい一歩を踏み出した方々の「生の声」をご紹介しています。ぜひ、住まい選びの参考にしてください。
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(シニア賃貸60+編集部)