返還義務とは、賃貸借契約において、借りる側が大家さんに対し、借りているお金を返す責任のことです。
具体的には、賃貸契約の際に大家さんに預けた敷金や保証金が、退去時に家賃滞納や部屋の大きな損傷がなければ、借りる側に返される(返還される)という大家さんの義務を指します。ただし、ハウスクリーニング代や、借りる側がつけた傷などの修繕費用が差し引かれるのが一般的です。
返還義務の確認ポイント
1. 返還される費用の種類と条件を確認
返還義務があるのは主に敷金や保証金です。契約書で「礼金」や「更新料」のように返還されない費用と明確に区別されているか、そしてどのような条件でいくら返還されるのかをしっかり確認しましょう。特に「敷金償却」や「敷引き」といった特約がないか注意が必要です。
2. 退去時の「原状回復」の範囲を理解する
返還額は、退去時の「原状回復」の状況によって変わります。通常の生活で生じる劣化(経年劣化)や自然な損耗は大家さん負担のため、その分は差し引かれません。しかし、借りる側の故意や不注意でできた傷や汚れは、修繕費用として敷金などから差し引かれる可能性があります。どこまでが自己負担になるのか、契約書や国土交通省のガイドラインを確認しておきましょう。
3. トラブルを防ぐための記録と相談
退去時に「これは元々あった傷ではないか」などのトラブルを防ぐため、入居時の部屋の状態を写真や動画で記録しておくことが非常に有効です。また、もし返還額に疑問がある場合は、一人で抱え込まず、不動産会社や消費生活センターなどに相談することも検討しましょう。