老後の住み替え②|シニアの住み替えでよくある5つの失敗とは?
前回(第1回)では、「なぜ今、定年後の住み替えが注目されているのか」について、株式会社イチイ シニア事業部の相談現場での声を交えながらご紹介しました。
老後の住み替え①|なぜ増えているのか?60代から考える住まいの見直し
今回は、シニアが賃貸へ住み替える際に“つまずかないために押さえておきたい5つのポイント”について、シニア事業部 所長の酒井さんにお話を伺いました。
見落としがちな“見えない出費” が負担になる場合も(金銭面)
「住み替えで多いのが、“家賃以外の見えにくい費用” です。年金で足りると思っていたのに、実際に住み始めたら“想像していなかった出費”が出てきた……そんな話を聞くこともあります」と酒井さん。
例えば、設備やサービスがしっかりしたシニア向けの賃貸物件は、一般的な賃貸と比べると管理費が少し高めです。ですが、「生活スタイルが変わることで増える支出」 が増える可能もあります。
たとえば──
- 住まいの構造や広さ、階数が変わることで冷暖房などの電気代が上がることがある
- 外食やショッピングの機会が増えたときの交際費
- 通院先や買い物先が変わり、移動距離が伸びた場合の交通費
など、“住んでみて初めてわかる支出”も少なくありません。
酒井さんは、「家賃そのものよりも“生活コストの変化”で負担が増えることもあります。こうした支出は、事前に知っておくことで無理のない予算づくりができ、住み替え後の“家計の安心”にもつながります」と話します。
「便利な場所」のはずが不便だった(立地)
駅から近い、街中で便利そう──そんなイメージだけで選んだ結果、「病院が遠い」「スーパーが小さくて品揃えが悪い」「騒音がストレスに」など、住んでみてから不便を感じるケースがあります。
酒井さんによると、「“駅チカ=便利”とは限りません。実際に歩いてみて、自分の生活スタイルに合うかどうかを確認することが大切です」とのこと。
シニアの生活には「徒歩圏内に必要な施設があるか」が重要です。特に、日常的に利用するスーパーや病院、ドラッグストア、銀行などが近くにあるかは暮らしやすさに直結するため、妥協せずチェックしましょう。
また、坂道や階段の有無、バス路線の本数や停留所の位置も、シニアの生活には欠かせないチェックポイントです。
周囲に馴染めず孤独を感じる(人間関係)
環境を変えることで「新しい人とのつながりができるかも」と期待して住み替えたものの、実際にはご近所との交流が少なく、人間関係が希薄に感じてしまうケースもあります。
特に、地域の年齢層が若いエリアや、都市部のマンションでは、生活リズムが異なるため接点が生まれにくく、「顔を合わせてもあいさつ程度」で終わってしまうことも珍しくありません。結果として、以前の住まいより人との距離を感じてしまう人もいます。
また、シニア世代の場合、“長年慣れ親しんだ地域コミュニティから離れる”ことで、思っていた以上に心細さを感じることもあります。日々のちょっとした会話や、顔見知りがいる安心感が暮らしの満足度に影響するため注意が必要です。
孤立を防ぐには、同世代が多い物件や、コミュニティ活動が活発な地域を選ぶことが大切です。物件によっては、季節のイベントや見守りサービスを通じて自然に交流が生まれる環境もあります。
酒井さんは、「見学時には、建物内の掲示板やイベント案内、入居者の雰囲気などを必ず確認してください。そこで“自分がここで暮らしている姿が浮かぶか”が、後悔しないポイントになります」と話します。
契約や手続きがスムーズに進まなかった(契約面)
高齢者の賃貸契約は、保証人の確保や、家主側の受け入れ姿勢によってスムーズに進まないことがあります。
「気に入った物件なのに借りられなかった」「保証会社の審査に落ちた」という声も珍しくありません。いくら十分な預貯金や年金があったとしても、年齢的なことや無職などの理由で入居を断られるケースもあります。
この点について、酒井さんは「まずは“シニア歓迎物件”を扱う不動産会社に相談するのが安心です。保証人がいない場合も、保証会社や見守りサービスを組み合わせて契約できます。実際に内見をする際は、物件そのものだけでなく、契約条件や保証プランについてもしっかり確認しておくと、スムーズに手続きを進められます 」と述べています。
シニア向け賃貸では、年金のみの方でも入居できるケースが一般的です。年金収入を生活の基盤として見てもらえるほか、保証会社や見守りサービスを活用することで、より安心して契約が進められます。
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体調の変化で、今の住まいが合わなくなる(健康面)
「元気なうちは大丈夫」と思って選んだ物件も、数年のあいだに体力や体調が変化し、階段の昇り降りが負担になったり、遠くの病院へ通うのがつらくなったりすることがあります。特に60代後半からは、膝や腰の痛み、持病の通院回数の増加など、“住まいとの相性”が大きく影響し始める時期です。
また、夜間のトイレ移動や、浴室の段差、小さな段差につまずくリスクが高まるなど、日常の何気ない動作が負担になるケースも増えてきます。
酒井さんはこう話します。
「健康は数年単位で大きく変わります。住み替えを考えるときは、“今の体力で何とかなる”ではなく、“将来の自分も無理なく暮らせるか”を基準にしてください。特にシニアの住まいでは、段差の少なさ・移動距離の短さ・病院とのアクセス・見守り体制や緊急時の連絡手段など、生活動線そのものが安心につながります。こうした条件を満たす物件を選ぶことで、将来的に再び住み替えが必要になるリスクを大幅に減らせます」。
失敗例を知っておけば、後悔のリスクは減らせる
シニア世代の住み替えは、一度きりの大きな選択になることが多く、慎重になって当然です。ですが、今回ご紹介したような“つまずきやすいポイント”を事前に知っておくだけで、不安や迷いを大きく減らすことができます。
「どんな暮らしをしたいのか」「どこに重きを置くのか」を整理しながら、ご自身に合った無理のない住み替えを進めてみてください。
焦らず、少しずつ情報を集めていけば、安心して次のステージへ踏み出すことができます。
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次回(第3回)では、スムーズな住み替えのために事前に整理しておきたい「4つのこと」を詳しく解説します。
取材協力:株式会社イチイ シニア事業部 酒井さん
(シニア賃貸60+編集部 松尾)
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