60歳からの部屋探しは苦戦する!? 年金暮らしのシニアにおすすめの賃貸住宅とは

日本の賃貸は高齢者にとって借りにくい

退職金があるのに、貯蓄を持っているのに、年金収入が充分あるのに賃貸マンションが借りにくい…。そんな話が現実にあるのが、日本の高齢者における不動産賃貸事情です。

高齢者が賃貸住宅を借りるときに直面する問題には、どのようなものがあるのでしょうか？なぜ高齢者は賃貸が借りにくいのかについて掘り下げてみましょう。

半数以上の大家が高齢者の入居に消極的

国土交通省が平成28年に公表した「家賃債務保証の現状」によると、賃貸オーナーの約6割が高齢者の入居に消極的な考えを持っていることがわかりました。

特に単身者の入居は厳しく、60歳以上の入居を制限しているオーナーは11.9％、高齢者のみの入居を不可としているオーナーが8.9％にのぼります。これらの数値には生活保護受給者は含まれていません。

さらに、国土交通省が2023年度にまとめた「住宅確保要配慮者に対する居住支援の現状」でも、状況は大きく変わっていません。高齢者の単身入居について、全国の賃貸オーナーの約6割が「抵抗感がある」と回答しています。

オーナー側の主な懸念としては次のようなものが挙げられます。

• 室内での死亡事故（孤独死）への不安
• 認知症や病気の悪化への対応
• 緊急時の連絡体制・支援不足

これらのリスクに対する不安が、入居制限や審査の厳格化につながっています。
たとえ年金や貯蓄が十分にあっても、オーナーがこうした懸念を抱える物件では、定年退職後や単身シニアの入居が難航するケースが少なくありません。

貯蓄や年金が十分あっても家が借りられない現実

実際には、収入や資産が十分にあっても「高齢」という理由で入居を断られるケースは少なくありません。

たとえば、筆者の知人夫婦の話ですが、立派な持ち家があり、ご主人は大手企業に長年勤めていた方でした。ところが、定年退職後にセカンドハウスとして神奈川に賃貸マンションを借りようとした際、不動産屋に何度も断られ、思いのほか苦戦したといいます。

最終的には高齢者向け賃貸住宅に入居できましたが、「貯金も年金もあるのに、なぜ貸してくれないのか」と強い憤りを感じたそうです。
ご主人の年齢が69歳で、夫婦ともに無職だったことが、審査上のネックになったと考えられます。

このように、いまだに多くの大家さんが高齢者の入居に慎重な姿勢を見せています。

仕事を持っていれば毎月の収入が安定しており、家賃滞納のリスクは低いと見なされますが、年金のみで暮らす場合は、将来的な支払い能力を不安視されることがあります。

特に、預貯金を取り崩して生活している場合、万が一資金が尽きたときに家賃を支払えなくなるリスクを懸念される傾向があります。
そのため、一般的な賃貸物件では、定年後の60代以降になると審査に通りにくくなり、70歳を超えると一人暮らしの入居がより難しくなるのが現状です。

70歳以上で賃貸物件の審査を通すためには、家賃を滞納する心配がないことを示すと同時に、緊急時に連絡を取れる人や見守りの仕組みがあることを伝えることがポイントになります。

それが家族でなくても、保証会社、地域の見守りサービス、居住支援法人などを活用することで、オーナー側に安心感を与えられる場合もあります。

こうした“支え合いの仕組み”を整えておくことが、シニア世代の住まい探しをスムーズにする鍵といえるでしょう。

60歳以上ならシニア向け賃貸がおすすめ！

年金や貯蓄があっても、一般の賃貸住宅では入居審査が厳しいケースが少なくありません。そんな中で注目を集めているのが、60歳以上の元気なシニアが安心して暮らせる「高齢者向け賃貸住宅」です。

これらの住宅は、バリアフリー設備や見守りサービスなど、高齢者の暮らしに配慮した設計になっています。

シニア向け賃貸住宅の詳しい仕組みや費用の違いについては、以下の記事で紹介しています。
▶ シニア向け賃貸住宅とは？特徴やサービス、一般賃貸との違い、入居までの流れを解説

契約は一般的な賃貸借方式で、必要なのは敷金・礼金・家賃・管理費のみ。老人ホームのような高額な入居一時金は不要で、生活スタイルの自由度が高いのが特徴です。

「暮らしてみたら合わなかった」という場合でも、賃貸なので引っ越しがしやすく、自分に合った環境を選び直すことも可能です。

こんな方に選ばれています

• まだまだ元気で、老人ホームには入りたくない
• 配偶者を亡くし、広すぎる戸建てを持て余している
• 一人暮らしが少し不安で、安心できるサポートが欲しい
• 家を手放して、子どもの近くで新しい生活を始めたい
• 駅に近く、買い物や通院にも便利な立地で暮らしたい

保証人がいない方でも、保証会社を利用すれば入居できる場合があります。
▶ 保証人なしでも借りられる！シニア向け賃貸住宅という選択肢

シニア向け賃貸住宅は、60代・70代の方にとって「安心・快適・自立」を兼ね備えた新しい住まいの選択肢です。一般賃貸からの住み替えや、戸建てからのダウンサイジングを検討している方は、ぜひ一度チェックしてみてください。

（シニア賃貸60＋編集部 松尾）

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