一生「賃貸」に住むと決めた理由とは?ランキングから見える賃貸のメリット・デメリット
老後の住まいは賃貸か、持家か。このテーマはテレビやネットなどでもたびたび取り上げられ、シニア世代にとって大きな関心事でもあります。
広い持家を維持する安心感と負担のバランス、あるいは賃貸の身軽さと将来の不安…。それぞれにメリット・デメリットがあり、どちらを選ぶかで暮らし方は大きく変わります。
そこで、株式会社AlbaLinkが453人を対象に実施した「一生賃貸に住むと決めた理由」のアンケート結果をもとに、リアルな声から見えてくる賃貸物件のメリット・デメリットについて考えてみましょう。
一生賃貸に住むと決めた理由1位は「引っ越ししやすい」
一生賃貸に住むと決めている453人に「一生賃貸に住むと決めた理由」を聞いたところ、1位は「引っ越ししやすい(204人)」でした。
2位「メンテナンスの負担がない(96人)」、3位「固定資産税の負担がない(45人)」、4位「転勤が多い(39人)」と続きます。
引用元:Alba Link 不動産総研
その理由には以下のようなものがありました。
1位 引っ越ししやすい
・飽き性のため同じ場所に住み続けるのはストレス。4~6年くらいのスパンで新しい家に引っ越しをしてリフレッシュしたい(20代男性、独身、子供なし)
・家族構成の変化や子供の成長によって住み替えられるから(30代男性、既婚、子供あり)
・嫌なことがあれば引っ越しして環境を変えやすいのがいい(40代女性、既婚、子供あり)
賃貸の最大のメリット、それが引っ越しのしやすさ。仮に隣人トラブルがあったとしても、持家と違い新しい環境に移りやすいため、ストレス少なく生活できます。
また、転職・転勤などのライフステージの変化、子どもの成長などに合わせても住み替えでき、築浅物件を選べばいつでも新しく、綺麗な物件に入居できるます。
2位 メンテナンスの負担がない
・修理、修繕が管理会社負担のため、出費を気にしなくていい(20代女性、独身、子供なし)
賃貸では物件のメンテナンスは貸主の負担で行われます。筆者も、備え付けのエアコンが壊れてしまったとき、大家さんの負担でエアコンのほか、室外機も交換してもらうことができました。
家賃とは別に、月々の「管理費」「共益費」が必要になることはありますが、マンションの「修繕積立金」ほどの金額にはならないケースがほとんどです。

30年で500万円程度が必要と言われる戸建ての修繕費。築年数が長くなるほど修繕費が高額になり、さらには固定資産税や火災保険といった維持費も必要となるため、入念な資金計画が欠かせません。何にどれくらいかかるのか、費用のリアルな内訳を探ってみましょう。
■戸建ての修繕費はいくらかかる?老後にできる対策を考える
3位 固定資産税の負担がない
・固定資産税で揉めたことがあるから(30代女性、独身、子供なし)
・家、マンションを買うと、固定資産税がかかるから(50代女性、既婚、子供あり)
土地や建物(マンション)を購入すると、毎年固定資産税がかかるようになります。
賃貸は「家賃+管理費」、持家は「固定資産税+修繕+火災保険」。総額で比較するなら、10年スパンでの累計コストで見ておくと判断ミスを防げます。
4位「転勤が多い」、5位「家を買うお金がない」6位「ローン返済がプレッシャー、7位「子どもがいな
い」などの声が上がっています。
8位 相続の手間がない
・祖母が亡くなった際、空き家の相続・解体について両親が苦労していた。自分の両親も一軒家に住んでいるため、将来的に親の持ち家をどう処理するか考えると、賃貸の方がラクだと感じる(20代男性、独身、子供なし)
・親戚が相続した家の処分に苦労するのを見ていたので、「残された家族に迷惑をかけたくない」と思った(40代女性、既婚、子供あり)
親や親族が「持ち家の相続」や「空き家の処分」で苦労しているのを身近で見てきた人は、「自分の子どもには同じ思いをさせたくない」と考える傾向があります。そうした体験から、将来の負担を避けるために賃貸を選ぶ方も多いのです。

■【不動産相続】親の家は残すべき?自宅を相続させるメリットやデメリット、売却が有利なケースは?
一生賃貸に住むデメリット1位は「一生家賃を払い続ける」
引っ越ししやすく、費用の負担が少ないのが賃貸物件のメリット。お次は賃貸物件のデメリットについても考えてみましょう。この二つを比較してこそ、自分にぴったりの家選びが可能になります。
引用元:Alba Link 不動産総研
1位 一生家賃を払い続ける
・高齢になっても家賃の支払いが続くこと(20代男性、既婚、子供なし)
・少ない収入の中からずっと家賃を払い続けること(30代女性、独身、子供なし)
持家ならローンの完済が終了すれば、メンテナンス費や固定資産税のみの支払いになりますが、賃貸の場合、住み続ける限りずっと家賃の支払いがつづきます。そのため、定年退職後の支払いに不安を感じる方は多くいらっしゃいます。
2位 資産にならない
・一生家賃を払い続けても、一生自分の持ち物にはならない虚しさがある(30代女性、独身、子供あり)
・家賃を払い続けても、手元に何も残らない(40代女性、独身、子供なし)
家賃を払いつづけても、家が自分のものにならないことにデメリットを感じる方も多数。また、払いつづけた金額を省みて虚しさを感じる方も珍しくありません。
家が自分のものでない場合、大家さんの都合によっては急に立ち退きを要求され、高齢者の場合は次の入居先が見つかりにくい不安もあるでしょう。
3位 高齢になると契約が難しい
・高齢になったときに、契約更新できない可能性があり不安(20代女性、既婚、子供なし)
・とくに独身の場合、家を借りることが難しくなる(40代男性、独身、子供なし)
・高齢になってから引っ越ししようと思っても、受け入れてもらえない可能性がある(50代男性、既婚、子供あり)
4位「簡単にリフォームできない」、5位「隣人トラブルが起きやすい」、6位「収入が減ると家賃を払えない」、6位「トータルコストが高くなる」、8位「汚れやキズに気をつかう」と続きます。
高齢で定期的な収入がない場合、貯蓄がたっぷりあっても「家賃が払えなくなるのでは」という大家さん側の不安から、賃貸物件への入居を断られることもあります。
また高齢の独身者の場合、「孤独死のリスク」を懸念されることも。そのため高齢になってからの「住み替え」「契約更新」が不利になることを、不安材料に挙げる方も多くいらっしゃいました。

■保証人がいなくても大丈夫!高齢者のための身元保証サービスとは?
賃貸を選ぶ方が重要視しているのは、身軽さとコスト面。ライフスタイルやステージの変化に合わせて住む場所を変えられるのは、より良い日々の実現を可能にしてくれます。
また、賃貸物件のデメリットとして挙げられた「高齢になると契約が難しい」という点も、高齢者向け賃貸住宅や、サービス付きシニア向け賃貸住宅でなら、高齢者の入居を前提としているので、ほかの一般賃貸よりも入居しやすい仕組みが整っています。
かと言って、賃貸物件にもメリットばかりではありません。完璧に満足のいく物件と出会うことは難しいかもしれませんが、賃貸に住み続けると考える場合、家賃を含めた資金計画や将来の契約更新など、老後の生活を見据えた準備をしておくことが大切です。
それぞれの特徴を理解しライフスタイルに合った住まい選びを
老後の住まい選びに「正解」はありません。持家には資産として残せる安心感や、リフォームによって自分好みにできる強みがあり、賃貸には変化に合わせて身軽に住み替えられる魅力があります。
最近ではシニア向け賃貸住宅も増えており、年金生活でも無理のない家賃で安心して暮らせる環境が整ってきました。まずは、自分の収入やライフスタイル、そして将来どんな暮らしを望むのかを踏まえて、持家と賃貸の両方を比較しながら住まいを選んでいきましょう。
老後に賃貸を選んだ方々の実際の声は、こちらの「私が賃貸に決めた理由」で紹介しています。
老後の住まいは持家?賃貸?自分がどちらに向いているかは、お金の問題だけでは判断できず、大切にしている考え方や生活環境、さらには建物の状態によっても異なります。少しでも納得のいく結果を残すため、まずは持家と賃貸、それぞれの特徴を徹底的に把握していきましょう。
■老後は「持家」か「賃貸」か?それぞれを比較して考える
出典:株式会社AlbaLink
(シニア賃貸60+)